40歳を過ぎた頃からお通じの際に違和感を感じることが増えてきました。
最初は一時的なものかと思いあまり気にしないようにしていました。
しかし、数ヶ月が経つにつれてその違和感は続き血が出てくることもありました。
人間ドックの一環として受けた大腸内視鏡検査でも内痔核の可能性を指摘されました。
このままではいけないと思いよりくわしく専門医の診察を受けることにしました。
そして日帰りで終わる内痔核の手術をうけてきたのでその体験記を今回は綴りたいと思います。
受診のきっかけ
内痔核の診断を受けて最初は薬で治るのではないかと考え処方された薬を試してみました。
しかし、1ヶ月ほど経過しても症状は改善せず再度病院を訪れました。
診察を受けたところ医師から日帰りの手術の選択肢をおききしました。
最初は手術に対する不安もありましたが日帰りで行える手術ということもあり人生100年を考えると思い切って挑戦することにしました。
内痔核について
内痔核(ないじかく)は肛門の内側に発生するいぼ痔の一種で肛門の歯状線よりも内側に腫れが生じる状態を指します。
この腫れは主に以下のような要因によって引き起こされます。
内痔核の主な原因
- 便秘や下痢: 排便時の強い力みによって静脈がうっ血する。
- 食生活: 水分や食物繊維の不足が腸内環境を悪化させる。
- デスクワーク: 長時間座っていることが血流を悪化させリスクを高める。
内痔核の特徴
内痔核の症状は通常痛みを伴いませんが以下のような兆候が見られることがあります。
- 排便時の出血: トイレットペーパーに赤い血が付くことがある。
- 脱出: 排便後に肛門外に腫れた部分が見えることがある。
この症状が進行すると内痔核はさらに悪化し日常生活に支障をきたす可能性があります。
具体的には歩行や立位の際に腫れが外に出てしまうことがあります。
内痔核と外痔核の違い
内痔核は外痔核と異なりその位置が重要なポイントです。
特徴 | 内痔核 | 外痔核 |
---|---|---|
位置 | 肛門から内側 | 肛門の外側 |
痛み | 通常は痛みなし | 多くの場合痛みを伴う |
触診 | 脱出時に触れることがある | 腫れを触れることが可能 |
手術前の準備
手術の前日医師から指示された通り排便を促す薬を飲むことになりました。
これにより手術当日にスムーズに進行できるようです。
全体の流れは以下です。
手術前の流れ
- 病院到着: 手術に向けての準備が始まります。
- 点滴開始: 最初に行われた準備です。
- 下半身局部麻酔の準備: 背中から局部麻酔を打ち痛みを感じないようにします。
- 消毒: 背中に消毒液を2回塗布してもらいます。麻酔の事前準備です。
- 手術室へ移動: 手術の開始となります。
麻酔の感想
局部麻酔が背中に打たれると下半身の感覚が徐々に鈍くなりまるで正座をした後のようなしびれを感じました。
具体的には足の感覚が薄れていくのを実感し少し不安な気持ちもありましたが痛みはほとんど感じませんでした。
このしびれた感覚は少しづつ強くなり下半身全体が麻痺しているように感じました。
手術の体験
手術は約30分で終了しました。
麻酔が効いているため手術中痛みを感じることはありませんでした。
どんな手術をするかは後述のジオン注射に記述しました。
ただし触れられている感覚はありました。
私の場合はうっ血が酷かったためさらなる麻酔の際血がでたそうです。
手術後は3時間ほどの休憩が設けられます。
麻酔の切れを確認する時間ですね。
この間に水分をとり排尿の感覚が戻るのを待ちます。
自分で排尿ができるようになったら麻酔が切れた事の証明なので帰宅することができます。
帰宅時はお尻にガーゼを当てた状態で帰宅しました。
全体的に思った以上に楽でした。
帰りは生活の質が上がる事を期待して晴れやかな気分になりました。
手術後の処方
手術後医師からは以下のような薬を処方されました。
薬の種類 | 目的 |
---|---|
抗生物質 | バイ菌を抗うため |
痛み止め | 手術後の痛みを軽減するため |
胃の保護薬 | 胃に痛みを与えないための薬 |
これらは術後の痛みやお通じの助けになる薬です。
ジオン注射(ALTA療法)の概要と治療法
手術で行ったジオン注射(ALTA療法)について簡単に説明しておきます。
この治療法は内痔核に直接注射することで脱出や出血などの症状を改善します。
特徴として注射による手術なのでメスを入れません。
なので体と精神的負担を軽減できる魅力的な技術なのです。
項目 | 内容 |
---|---|
治療費 | 保険適用で約1.5~3万円 |
麻酔 | 下半身局所麻酔を使用 |
効果 | 症状の軽減が期待できる |
生活への影響 | 翌日から通常の日常生活が可能 |
副作用 | 血圧低下、下腹部痛、嘔気などが報告 |
施術の時間短縮
ジオン注射の治療時間は麻酔を含めて約30分と短時間で済みます。
これも大きな利点です。
このように身体に優しい治療法として多くの患者に支持されています。
もちろんデメリットもありますので詳しくは医師から説明をしっかりうける事も重要です。
手術後の経過とスケジュール注意点
帰宅してからの数日は注意が必要ですが基本的には通常の生活を続けることが可能です。
医師からの指示に従い定期的に経過観察を行うことで安心して生活できるようになります。
日常生活に戻るまでの注意点/ゴルフはいつからできるのか?
手術後3週間は基本的にお酒やスポーツ特に腹圧を使う運動は控えることが推奨されます。
ゴルフを楽しむ方はこの期間は特に意識して行動することが必要です。
- 飲酒の控え: 手術後はアルコールは体に負担をかける可能性があるためしばらくは飲まないように心掛けましょう。最低3週間は控えるよう指示されました。
- スポーツの制限: 腹圧をかけるスポーツや激しい動作は手術後3週間は控えるべきと指示を受けました。スケジュールあらかじめ確認することが大切です。
出張や旅行の注意
出張や旅行に対する注意: 手術後3週間は出張や旅行も慎重に計画する必要があります。
なぜなら出血などのリスクがあるため何かが起きた際にすぐに病院へ駆けつけられる距離を確保しておくことが重要と説明をうけました。
移動中に体調が急変する可能性もあるため無理のないスケジュールを立てることが大切です。
健康管理の重要性
現代の人生100年時代において身体のメンテナンスは非常に重要だと痛感しています。
特にお尻の健康は見過ごされがちですが痛みや違和感があると日常生活に大きな影響を及ぼします。
この体験を通じて自分の体を大切にし必要なときには専門の医師に相談することの大切さを再認識しました。
ジオン注射の歴史とその進化
ジオン注射(ALTA療法)は内痔核(いぼ痔)に対する効果的な治療法として知られ現在多くの医療機関で利用されていますがその歴史は長く改良を重ねた結果現在の形に至りました。
ジオン注射の起源
ジオン注射の起源は1970年代にまでさかのぼります。
- 1971年: 中国の史兆岐教授らによって「消痔霊」と呼ばれる痔核治療薬が開発されました。この薬剤は痔核を硬化させて縮小させる「硬化療法」として大きな効果を発揮しました。
- 1979年: 「消痔霊」は日本に紹介され内痔核治療において高い評価を得ました。これにより日本国内での注射療法の研究がさらに進められることとなりました。
ジオン注の誕生と普及
- 2005年: 日本国内では「消痔霊」に含まれる一部の添加剤を改良し硫酸アルミニウムとタンニン酸を加えた注射液「ジオン注®」が登場しました。これにより注射療法はより安全で効果的になり内痔核の治療法として広く普及するようになりました。
ジオン注射は内痔核の症状が進行し脱肛や多量の出血が見られる場合に非常に効果的です。
注射により痔核を硬化・縮小させ、出血や脱出を軽減します。
従来の手術とは異なり切開することなく治療できる点が患者にとっても大きなメリットです。
痔核硬化療法の歴史
内痔核の硬化療法自体は19世紀後半の欧米にさかのぼります。
しかし当時使用されていた薬剤には多くの副作用が伴い安全性が十分に確保されていませんでした。
そのため改善が繰り返されてきた歴史があります。
- 1800年代後半: 欧米で痔核硬化療法が始まり多くの薬剤が試用されましたが副作用が問題となり薬剤の改良が進みました。
- 2005年: 日本でALTA(ジオン注)が認可され痔核硬化療法における新たな治療法として注目を集めました。
現在の治療薬
現在日本で主に使用されている痔核硬化剤は「ALTA(アルタ)」と「PAO」の2種類です。
特にALTAは2005年に認可された新しい薬剤で強力な効果を持ちながらも副作用が少なく内痔核治療に大きく貢献しています。
これによりより安全で効果的な治療が可能となり内痔核で苦しむ多くの患者に選ばれる治療法となりました。
このようにジオン注射は内痔核の硬化療法として歴史的な進化を遂げてきました。
中国での開発から始まり日本での改良を経て現在では切開せずに内痔核を治療できる方法として確立されています。
まとめ
内痔核の手術を受けることは不安もありましたが思った以上にスムーズに進みました。
ジオン注射という比較的新しい治療法を通じて質の高い日常生活に戻ることができるのは大きな喜びです。
手術の体験を通じて内痔核に悩む方々、同じような悩みを抱えている方に私の体験が少しでも参考になれば幸いです。
今後も健康に気を付け日々の生活を過ごしたいと思います。