「JLPGAツアートーナメントに出場したい!」という夢を抱くゴルファーにとってどのような資格とステップが必要なのでしょうか?
JLPGAツアーに出場するには数々の厳しい条件をクリアし毎年行われるクォリファイングトーナメント(QT)での成績も求められます。
本記事ではJLPGAツアーに参加するための具体的な条件とステップについて綴ってみたいと思います。
JLPGAツアー
JLPGAツアー
JLPGAツアーは日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が運営する国内最高峰の女子プロゴルフトーナメントです。
年間を通じて約38の試合が組まれており選手たちは厳しい競技日程の中で技術やメンタルを磨き合います。
1大会につき開催日数は3~4日間が一般的です。
JLPGAはツアー構成も充実しておりプロ選手のキャリアに応じた競技機会を提供しています。
例えば、45歳以上のベテラン選手を対象とした「レジェンズツアー」では、シニア層のプレイヤーが活躍できる場を設けスポーツの普及や社会貢献にも貢献しています。
また、若手育成を重視する「ステップ・アップ・ツアー」もあり、JLPGAツアー出場に向けてスキルを磨きたい新人やツアー未経験の選手が試合経験を積み成長できるステップを提供しています。
歴史に関しては以下もご参照ください。
ステップアップツアー
概要
項目 | 内容 |
---|---|
開始年 | 1991年 |
目的 | JLPGAツアーに出場資格を持たない選手や新人選手の育成およびレベルアップ |
世界ランク認定 | 2017年より、ロレックス・ランキングの対象ツアーとして認可 |
使命・理念
項目 | 内容 |
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Mission(使命) | – 選手の育成とツアー強化 – ゴルフの魅力の訴求 – 社会貢献 |
Vision(ビジョン) | 選手の未来を創造し、地域に笑顔を届ける |
Value(価値) | – 女性の活躍、華やかさ – 挑戦、再起 – 新人のスタートライン |
出場資格
順位 | 選出条件 |
---|---|
1 | ステップ・アップ・ツアーおよび特別競技の優勝者(臨時登録者を除く) |
2 | 前年度最終プロテスト合格者 |
3 | 前年度JLPGAツアー「週番号第46週」終了時点のメルセデス・ランキング51~55位の選手 |
4 | 明治安田ステップ・ランキング上位2位の選手 |
5 | QTランキングリスト上位者(ステップリランキング制度に従う) |
6 | 前年度QTファイナルステージの出場資格を有するQTランキング上位者(ステップリランキング制度に従う) |
7 | トーナメント特別保障制度第8条第2項該当者(ステップリランキング制度に従う) |
8 | ステップリランキングリスト上位者(ステップリランキング制度に従う) |
備考 | 臨時登録者とは、JLPGA非会員で当該競技に出場が認められた者 |
メリット
項目 | 内容 |
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明治安田ステップ・ランキング上位者特典 | 1・2位の選手は、翌年度第1回リランキングまでのJLPGAツアー出場資格を獲得 |
QTファイナルステージ出場資格 | 各大会優勝者および明治安田ステップ・ランキング3~10位の選手が出場資格を獲得 |
メディア放送
項目 | 内容 |
---|---|
放送局 | 全試合をCS放送「スカイA」で放送 |
JLPGAステップ・アップ・ツアーは1991年から始まった日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)主催の若手や新人選手の育成を目的とした大会です。
ツアーへの本格的な出場資格を持たない選手が、試合経験を積みながら技術や精神力を高め、JLPGAツアー出場を目指す場となっています。
また、2017年からは女子ゴルフの世界総合ランキング「ロレックス・ランキング」の対象ツアーにも認定され、注目度が向上しました。
ステップ・アップ・ツアーには優先順位に基づく出場資格があり、特に優勝者やランキング上位者には翌年度のJLPGAツアー出場権やQTファイナルステージ出場権が与えられます。
また、全試合がCS放送「スカイA」で放送されるため多くのファンや視聴者も応援しています。
このツアーは選手育成と地域貢献を通じて日本女子プロゴルフの未来を担う場として期待されています。
このようにJLPGAステップ・アップ・ツアーは若手や新人選手の育成を重視したトーナメントであり出場経験を積みながら上位のJLPGAツアー出場資格を得るチャンスが与えられています。
レジェンドツアー
JLPGAレジェンズツアーは45歳以上の女子プロゴルファーを対象としたシニアツアーで2004年に始まりました。
2008年には「JLPGAレジェンズツアー」としてその名称が統一され以降大会数が増加しシニアゴルファーに新たな舞台を提供しています。
このツアーはプロゴルファーとして長年活躍してきた選手たちに再び競技の場を提供することを目的としており経験豊富な選手たちが集まるため観客にとっても見応えのある試合が繰り広げられます。
また60歳以上を対象にした「グランドシニアの部」が併催されることもあり年齢を重ねてもなおゴルフへの情熱を持ち続ける選手たちが競い合っています。
今シーズン、レジェンズツアーでは6大会が予定されており各大会はシニア選手にとって重要な競技の場となっています。
レジェンズツアーに出場する選手はJLPGAツアーでの実績が豊富なベテラン選手が多く永久シード選手や5勝以上した選手に優先的に出場権が与えられています。
そのため、ツアーには名前を聞いたことがある著名な選手が多数参戦しておりゴルフファンにとっては懐かしさと共に新たな発見がある大会です。
予備知識:JLPGAティーチングプロフェッショナル会員
日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のティーチングプロフェッショナル会員はゴルフの指導と普及活動を専門に行うプロフェッショナルです。
JLPGAティーチングプロになるためには特定の講習会を受講し認定試験に合格する必要があります。
この資格は国内で唯一のティーチングプロ資格としてゴルフ指導の分野で高い評価を受けています。
JLPGAティーチングプロは、ゴルフ技術やルール、マナーを指導しゴルファーの健全な育成に貢献することを目的としています。
JLPGAティーチングプロフェッショナル会員になるための手順
手順番号 | 手順内容 |
---|---|
1 | PGA主催の「ティーチングプロB級講習会」を受講し、合格する。 |
2 | PGA主催の「ティーチングプロA級講習会」を受講し、合格する。 |
3 | JLPGAが実施する入会審査に合格する。 |
JLPGAティーチングプロフェッショナル会員の役割と目的
JLPGAティーチングプロフェッショナル会員はゴルフの指導において専門的な知識と技術を持ちゴルフに関するルールやマナーを遵守しながらプレイヤーの育成に尽力します。
JLPGAが掲げる目的の一つはゴルフ技術の向上とともにゴルフを通じた健全な成長を促すことです。
また、ゴルフ普及活動にも力を入れておりゴルフの楽しさや魅力を広めるために積極的に活動しています。
この資格を持つティーチングプロはジュニアからシニアまで多様な層に向けてゴルフを指導しプロフェッショナルな技術を持つ指導者としてゴルフ界を支えています。
JLPGAツアートーナメントに参加するには?
1. JLPGAツアー参加資格の基本条件
JLPGAツアーに参加するためには日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の会員であることもしくは同協会が実施する「最終プロテスト」に合格している必要があります。
この最終プロテストは日本国内でプロゴルファーになるための公式なテストであり合格することで初めてJLPGAツアー出場への道が開けます。
JLPGA会員資格
JLPGA会員にはティーチングプロフェッショナルなど様々な資格が含まれますがツアートーナメントに参加するためには一定の条件を満たす必要があります。
また最終プロテストの詳細については【JLPGA最終プロテスト合格方法】の記事で詳しく解説していますのでぜひご参照ください。
2. クォリファイングトーナメント(QT)とは?
JLPGAツアーに参加するための最も重要なステップの一つがクォリファイングトーナメント(QT)です。
QTは翌シーズンのツアー出場資格をかけた予選大会であり毎年11月から12月にかけて行われます。
QTの流れ
JLPGAツアーのクォリファイングトーナメント(QT)に出場するためにはいくつかの資格要件と競技ルールを満たす必要があります。
QTは、「1st STAGE」と「Final STAGE」の2つのステージに分かれておりそれぞれ異なる参加資格と競技方法が設定されています。
これは多様な選手層に公平なチャンスを提供する一方で上位進出者を効率的に選抜するための構成となっています。
1st STAGE
1st STAGEには基本的にJLPGA会員や特定の条件を満たした選手が参加できます。
競技は4日間で72ホールのストロークプレー形式で行われ最終的に順位がタイになった場合は各ラウンドのスコアや最終ラウンドの特定ホールの成績により順位が決まります。
このステージを通過した上位者がFinal STAGEに進出することができます。
Final STAGE
Final STAGEでは1st STAGE通過者に加え前年のJLPGAツアーでシード権を失った選手や特定のランキング上位者が出場可能です。
競技方法は1st STAGEと同様に4日間で72ホールのストロークプレーですが天候などにより72ホールを終えることができない場合には予備日が設定されさらに短縮ルールも設けられています。
72ホールが不成立の場合には54ホール場合によっては36ホールでの成立も認められています。
こうした複雑なルールの構成により各選手はQTの中で公正な競技を通じて翌シーズンの出場権を競い合うことができ、また、成績上位の選手にとってはツアー参加への明確なチャンスが確保されています。
ステージ | 出場資格 | 競技方法 |
---|---|---|
1st STAGE | ・基本資格を持つ会員 ・特定条件を満たした選手 | ・複数日にわたるストロークプレー ・同順位の場合、成績に基づく順位決定方法あり ・上位者が次ステージ進出 |
Final STAGE | ・上位ステージからの進出者 ・シード権失効者 ・指定ランキング上位者など | ・複数日間でのストロークプレー ・予備日と短縮ルールあり(天候等の影響に対応) ・上位者に翌シーズンの出場権付与 |
3. リランキング制度について
JLPGAのリランキング制度はシーズン中の選手のパフォーマンスに応じて出場優先順位を再評価する仕組みです。
具体的にはシード権を持たない選手や当年度の優勝者以外のTP(ティーチングプロフェッショナル)登録選手が対象となりシーズン途中での「メルセデス・ランキング」に基づき順位が見直されます。
このランキングによって特定の大会に出場する優先度が設定されます。
リランキングの特徴としてシーズンが始まる際には前年度のクォリファイングトーナメント(QT)の成績が最初のリランキングが行われるまでの出場資格決定に大きく関わる点が挙げられます。
QTの上位にランクインした選手はリランキングが実施されるまでの間レギュラーツアーでの出場権が保障されることが多くツアー参加の大きなステップとなります。
しかしリランキングが実施されるとQTの順位ではなくメルセデス・ランキングによる新たな順位が適用されよりコンスタントな成績が求められます。
このリランキングはシーズン中に1〜2回実施され最も活躍している選手が出場枠を優先的に獲得できるようにするため各大会の参加選手が一定の競技レベルを維持できるようになっています。
リランキング後の上位30〜35位程度の選手はほぼすべての試合に出場できる機会が増えますがそれ以外の選手はリランキング後の順位に基づいて出場機会が限られてしまうことがあります。
JLPGAリランキングの仕組み概要
- 対象選手:シード権のない選手および当年度優勝者以外のTP登録者
- 順位基準:メルセデス・ランキング(シーズン中の獲得ポイントに応じたランキング)
- 実施時期:シーズン中(リランキング基準競技の終了後)
- 優先出場枠:リランキング上位の30〜35位程度の選手が、ほぼ全試合の出場資格を獲得
このリランキング制度によりQTの結果だけではなくシーズンの成果に応じた出場権を得ることができるためJLPGAツアーにおける競争がより公平かつダイナミックになります。
また上位に位置する選手にとっては安定した出場のチャンスが確保される一方で成績次第で常に出場順位が変動するため各選手は一貫したパフォーマンスが求められます。
項目 | 内容 |
---|---|
対象選手 | シード権のない選手、および当年度優勝者以外のTP登録選手 |
順位基準 | メルセデス・ランキング(シーズン中の獲得ポイントに基づくランキング) |
実施時期 | シーズン中、リランキング基準競技の終了後 |
優先出場枠 | リランキング上位の約30~35位までの選手が、ほぼ全試合に出場可能 |
シーズン開始時の順位 | クォリファイングトーナメント(QT)の成績に基づいて決定 |
リランキングの目的 | シーズン中の成績に応じた出場優先順位を設定し、実力に基づいた公正な競争機会を提供する |
影響 | 上位選手は出場機会が増えるが、成績が低迷した場合は出場機会が制限される可能性あり |
4. JLPGAツアーのシード権
JLPGAツアーにおいて出場資格や出場機会を優先的に得られる「シード権」も大切な要素です。
主なシード権の種類として以下が挙げられます:
- 永久シード:通算30勝以上を挙げた選手に与えられる特別なシード権です。現在、樋口久子選手や涂阿玉選手など数名がこの資格を保有しています。
- メルセデスランキング上位50位以内:前年度のランキング上位50位に入った選手が翌シーズンも優先的に参加可能です。
- レギュラーツアー優勝:そのシーズンのレギュラーツアーで優勝した選手も、次シーズンのシード権を得ます。
選手名 | 通算勝利数 |
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樋口久子プロ | 69勝 |
卜阿玉プロ | 58勝 |
不動裕理プロ | 50勝 |
大迫たつ子プロ | 45勝 |
岡本綾子プロ | 44勝 |
森口祐子プロ | 41勝 |
5. 国内女子ゴルフQT参加資格
JLPGAツアーの出場権を得るためには上記の条件を満たすほか国内女子ゴルフQTに参加するための資格も必要です。
具体的には以下の条件を満たした選手が参加できます。
ファーストステージ参加資格
- JLPGA会員(ティーチングプロフェッショナルも含むが、特定の条件が必要)
- 2024年度のJLPGA最終プロテスト合格者
ファイナルステージ参加資格
- JLPGAツアーシード選手のうちシード権を持たなかった選手
- メルセデスランキングの56位から70位までの選手
- ステップ・アップ・ツアー優勝者やランキング上位者
まとめ
JLPGAツアートーナメントに出場するためにはJLPGA会員であることや最終プロテストの合格そしてQTの突破が必要です。
またリランキングやシード権といったシステムもあり安定した成績を残すことで次シーズンのツアーに継続して出場できる可能性が高まります。